睡眠障害は大腸がんに影響しますか:台湾のコホート研究

松江出張所便り

2024/9/28

はじめに 大腸がん(CRC)は、世界で3番目に多く診断され、4番目に死亡率の高いがんです [1,2] 。CRCの発症には、年齢、遺伝、環境、欧米型のライフスタイル、喫煙、BMI/肥満、飲酒、特定の食習慣など、多くの危険因子が大きく関与していることが知られています[3,4] 。それでも、便潜血検査や大腸内視鏡検査などの効果的なスクリーニング対策により、CRCの発生率や死亡率は近年減少しています [3,4,5] 。にもかかわらず、CRCは毎年約90万人の死亡の原因となっています [6] 。そのため、他の疾患とCRCの間の危険因子や関連を調べることは非常に重要です。
睡眠は、自律神経系(ANS)と細胞の炎症シグナリングの両方に影響を及ぼす複雑な生理的プロセスです [7,8] 。睡眠障害(sleep disorder:SD)は、睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome: SAS)、不眠症(insomnia)、睡眠障害(sleep disturbance)、その他のSDを含む4つのタイプに分類されます。睡眠不足または不十分な睡眠は、心血管疾患、高血圧、認知症、うつ病を含む様々な疾患と関連していることが判明しています [9,10,11,12] 。SDとがんの発生率との相関に注目した研究もいくつかあり、睡眠時間の短短がCRCの有病率に影響することがわかりました [13] 。
2019年、Linらは台湾国民健康保険研究データベース(NHIRD)のデータを用いて、SDとCRCの関連を調査しました[14]。そこで研究者らは2つのコホート、CRCを有する個人とCRCを有さない個人、を定義し、CRC有病率に対するうつ病の影響について議論しました[14]。しかし、LinらはSDのサブグループ解析を行っておらず、また、一部の患者が複数のタイプのSDと診断されたという事実を考慮していません。そこで、Linらの知見を検証し、CRCに対するSDの影響をよりよく理解するために、台湾のNHIRDのデータを利用して縦断的後ろ向きコホート研究が実施されました。

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