はじめに
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は非常に有病率の高い疾患です。世界の成人の有病率は1億7,450万人、中国では9,990万人と言う報告があります。COPDの罹患率は今後40年間で右肩上がりに上昇し、2060年には世界で540万人がCOPDにより死亡すると推定されています(GBD, 2015 Chronic Respiratory Disease Collaborators, 2017; Wang et al.) 。その高い罹患率と障害を考慮すると、COPDは人間の健康に深刻な脅威をもたらす疾病と言えます。
COPDの最も一般的な合併症には、肺症状に加えて、心血管疾患、糖尿病、喘息、貧血などがあります。患者の大半は1つか2つの合併症を抱え、社会や医療システムの負担を増やしています(Mannino et al.、2015)。さらに、COPD患者のほとんどが精神疾患を患っており、QOLに悪影響を及ぼしています(Christiansen et al.、2023)。 COPDは予防疾患です。効果的な治療によって病気の再発や進行を遅らせることができます。
気管支拡張剤やグルココルチコイドを中心とした薬物療法は、安定期COPD患者の症状緩和、QOLや運動能力の改善、増悪リスクの軽減に有効であることが証明されています(Ritchie et al.、2020)。 しかし、薬物療法を行っても、安定したCOPD患者の中には急性増悪が頻発し、肺機能が低下する人もあります(Contoli et al.、2020) 既存の治療法では、患者の予後を根本的に改善したり、病気の進行を遅らせたり、死亡率を減らしたりすることはできません。したがって、安定期COPDの管理を改善するためには、代替的で効果的な治療法が依然として必要です。