はじめに
自閉症スペクトラム障害(ASD)は、相互コミュニケーションと社会的相互作用における持続的な障害を特徴とする神経発達上の問題です。ASDの子どもはしばしば、限られた興味、反復行動、さまざまなレベルの知的障害を示します(1)。最近のメタアナリシスでは、女児に比べて男児に高い有病率が認められ、男女比は約3対1でした(2)。2018年の厚生省のデータによると、台湾の13,000人の自閉症患者の男女比は7対1でした(3)。
過去数十年でASDの有病率が増加しているにもかかわらず、根本的な病因は依然として不明であり、遺伝的要因と環境的要因の間には複雑な相互作用があるようです。これらの要因やその結果生じる多様な症状は、治療標的が複雑であることを意味します。動物モデルとヒトに共通する遺伝的あるいは病態生理学的経路を見つけ、より良い治療標的を特定するための努力が続けられています(4)。近年、母体特有の薬物使用、出生前のステロイド曝露、親の高齢、抗生物質の使用などの危険因子への出生前の曝露が自閉症の予防に果たす役割が研究されています(5-7)。
最新の研究では、生物学的分子メカニズムに焦点が当てられており、例えば、腸内細菌叢と精神疾患との重要な関連と考えられている短鎖脂肪酸(SCFA)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、リポ多糖(LPS)、インドール、その他免疫学的バイオマーカーが、自閉症の生化学的メカニズムに関与しているようです(8-12)。しかし、幼児、特に幼児や乳児における危険因子への曝露や自閉症のメカニズムについては、まだ十分に研究されていません。